「地理学者」
- 健司 藤井
- 2018年3月24日
- 読了時間: 2分
前稿の「増補版 金融リスク管理を変えた10大事件+X」は、「日本の金融リスクを変えた10大事件」との同時刊行だった。この本は、前出の「金融リスク管理を変えた10大事件」(初版)の好評を受けて、出版社である金財さんから、「日本の10大事件を執筆いただけないか」というお話を受けて引き受けたものだが、当時、個人的には「(オリジナル)10大事件の増補改訂版ができないか」と考えていた。金財さんと相談のうえ、結論として2冊同時発行を決めたものだった。 日本の「10大事件」としては、不良債権問題や長銀破綻、UFJ銀行の検査忌避問題といった「事件」を挙げることは避けられない。これらにいくばくかの直接当事者として関わった立場からすると、執筆には逡巡の想いもあったが、「歴史の目撃者」として、これらについての記録を残すことに対する義務感もあって、お引き受けすることとした。とはいえ2冊の本を同時に執筆するのは思った以上に大変で、執筆は遅れに遅れたが、何とか書き上げることができた。 原稿の遅れに対して、本書の表紙についてのアイデアは最初から決まっていた。偶然の産物だった(前稿参照)「天文学者」が、「グローバルな10大事件」を示唆するとするなら、日本の10大事件は、「ローカル」な事件であり、グローバルな「天文」に対するローカルな「地理」として、表紙に選ぶ候補は、同じフェルメールの「地理学者」しか考えられなかった。金財さんを通して表紙掲載の交渉に当ってもらい、無事掲載の許可が得られた。原稿より早く表紙が決まった安堵感も、原稿の遅れにつながったとも言えなくもない。 【本稿については、「日本の金融リスク管理を変えた10大事件」の表紙カバーを参照されたい】

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